3回まで理論から考える「今が正念場」
いきなり、結論からですが、今日は、真面目にリーダーの一貫性の重要さを、お話したいと思います。
例えば、あなたが、出張でビジネスホテルに宿泊しているとしましょう。
宿泊者の誰かが、
ホテルの一部屋で、火事が起きています! みなさん避難しましょう!
と叫んだら、それに、みなさん、従うと思います。
しかし、実際は火事が起きておらず、その宿泊者は、オオカミ少年で、困った方である、ということが判明します。
一般的に、人は、
1回目;騙される(あくまでも社会生活は人間関係の信頼で成り立っていますので、過大なコストが発生しなければ、従う、という意味までです)
2回目;疑う
3回目;嘘である、と確定する
それ以降は、すべて嘘と考えます。
仏の顔も三度まで、ということわざも、少し似た主旨かもしれません。
では、ここでは、あなたが会社や組織のリーダーで、会社の存続をかけたプロジェクトの責任者だと、想定してみましょう。
・本当は、半年で、サービスインするはずだった
・しかし、コンピューターのバグが見つかり、<その場しのぎで>、「今が正念場」と半年前に、従業員にいった
・にもかかわらず、さらに、想定以上に、バグ修復に時間がかかることになった
・その結果、部下は、一か月で土日もなしで200時間の残業を一年も続けていて、すでに一部の部下は、自律神経を失調しており倒れている状況である
(労働基準法は、ここでは、無視してください)
そのようなときに、会社や組織のリーダーは、今後の展開がみえていないのに、<その場しのぎで>、また、
「今が正念場」
というべきではありません。
そんなことをいったら部下の士気は、さらに低下します。
また、プロジェクトも失敗すれば会社も倒産するので、部下は、ただ、絶望を深めます。
リーダーは、
目途が見えないとき;
残酷であっても、誠実に、いつまで我慢すればいいのか、わからないときは、わからない、という。
しかし、今は、みんな一丸となって戦う
一部の部門に負荷がかかっていれば、その部門に、他部門の人手など、すべてのリソースを総動員する。
総動員することを、全従業員に宣言し、全従業員に合意を促し、全従業員が、同じ痛みを分け合う。
そして、リーダーの自分が、最大の痛みを受け入れる、と部下にコミットすることです。
目途が見えたとき;
このような状況が、このような段階になったときには、光明がみえるかを、示す。
そのときは、状況を都度、全従業員に報告し、今の地点が、どこなのかを、正直に言う。
自分が先頭に立って、一番の痛みを受け入れる、
その姿を背中で見せるしか、ありません。
キャプテンファースト、キャプテンラスト
ノーブルオブリゲーション、は自身の行動で示した時に、まだ、その精神は死んでいない、と私は信じます。
私が何を言いたいのかというと、
リーダーのコミットメントと一貫性
が、人を動かす最大の鼓舞であるということです。
人を動かす動機は、何で、あるのか、ということについては、また、別の日にお話しようと思います。
補足;ロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器」という本があります。
この本は、主にマーケティングについて触れているのですが、人間心理を深く洞察しています。
武器として、下記の6つがあるのですが、実は、以下の2以外は、今日お話したことに、すべて関連しています。
1.返報性(reciprocation)
2.希少性(scarcity)
3.権威(authority)
4.コミットメントと一貫性(consistency and commitment)
5.好意(liking)
6.社会的証明(social proof)
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